今回は、犯罪被害者遺族としての立場を離れて、一般論で書いてみる。
仮釈放後の社会復帰は困難
仮釈放された無期懲役囚が、社会の中で平穏に暮らしていけるのだろうか。そこには、かなり高いハードルが横たわっているように思われる。
30年後の世の中
今現在、無期懲役囚が仮釈放されるのは最短でも30年経過してからである。また仮釈放が認められる件数も少なくなっているし、仮釈放されたとしても、様々な問題が立ちはだかっている。
30年前を振り返ってみて欲しい。30年も経過すると、世の中は全くといっていいほど変わってしまっている。30年後に仮釈放されたとしても、世間に適応できるはずがない。長年刑務所の中で、刑務官の指示通りに動くことしかしていない人物が、うまく対応できるとは思わない。
頼りにできる親族、友人がいない
自業自得と言ってしまえばそれまでであるが、凶悪な犯罪を犯した人間は、身内や友人から見放されている確率がかなり高い。30年も経てば両親も年老いており、親族は、殺人犯の身内と言うことで、まわりからの冷たい目にさらされて嫌な思いをしてきたはずだ。受刑者に対して、進んで援助しようとする親族は少ないと思われる。また親しかった友人も、何十年も連絡が途絶えてしまえば、赤の他人だ。
勤め口がない
私達普通に暮らしている人間でも、60歳を過ぎると勤め口を求めることは甚だ困難だ。「ハローワークで申し込んでも、年齢ではねられる」と私の同級生は言う。ましてや何十年も刑務所で暮らしてきた年取った人物を雇ってくれるところなんて、ほとんどないであろう。
再犯の確率が高くなる
仮釈放されて一般社会に出てきたとしても、生活が困難だと言うことになれば、ついつい犯罪を犯してしまうこともあるだろう。そうすれば刑務所に逆戻りだ。万引きとか窃盗などの軽微な犯罪ならまだいい。強盗殺人などの凶悪な犯罪を一度は犯した人間だ、また同じような犯罪を犯さないとは限らない。
仮釈放されるまでの期間
厳罰化
無期懲役囚の仮釈放が許可される件数は非常に少なくなっている。以前には、仮釈放された人間が、再び殺人を犯したという例もいくつかあるから、審理を慎重に行うことには賛成である。
仮釈放の条件
ただ本当に自分の行為を客観的に見つめ、心から改心・更生した人間は20年くらいで仮釈放を許してもよいのではないかと考えるようになった。
ただし刑務官の言うことに黙ってしたがっているだけ、謝罪もうわべだけという受刑者は、いくら受刑態度がよいと言っても仮釈放を許可するべきではない。こういった人間は必ず同じ過ちを犯す。
事件当時の自分の置かれていた状況、心理状態を分析し、なぜ自分はあんなことをしたのかを自覚すること。そうすれば自然と反省、謝罪の気持ちが生まれてくるはずだ。いつも自分の内面と向き合い、二度と過ちを犯さないという心情にたどり着いた人間は、社会復帰が可能なうちに仮釈放を許可してもよいのではなかろうか。
とはいっても、本当の意味で改心・更生できる受刑者がそんなにたくさんいるとは思えない。
最後に遺族として
母を殺した受刑者が、本当に心から改心・更生したとして、私は許せるだろうか。無理かもしれない。やっぱり仮釈放されるのは嫌だと考えるかもしれない。どうにも複雑な気持ちだ。